空き家を更地にすると固定資産税はどう変わる?扶桑町の専門家が徹底解説!

1.はじめに

2.空き家と更地の固定資産税の違い

(1)固定資産税の計算方法

固定資産税は、土地や建物の価格(公示価格)に税率(都道府県税:1.4%、市町村税:0.6%)を乗じた金額が基本的な計算となります。

具体的な計算例を表1に示します。

固定資産公示価格(円)税率(%)税額(円)
土地10,000,0002.0200,000
建物20,000,0002.0400,000

上記のように、土地と建物で別々に計算を行い、その合計がその年度の固定資産税となります。なお、この税額は毎年1月1日時点の所有状況に基づきます。空き家問題について考える際、この計算方法を理解しておくことは重要です。

(2)空き家の固定資産税

空き家にも、もちろん固定資産税が課せられます。その算出方法は、土地の価格と建物の価格を合計した金額に賦課標準率(地方税法で定められている)を掛けることで求められます。具体的な計算式は以下の通りです。

【計算式】 固定資産税 = 土地価格 + 建物価格 x 賦課標準率

しかし、空き家には「空き家等対策特別措置法」に基づき、一定の条件を満たせば固定資産税の減税措置が適用されます。そのため、同じ土地でも、空き家の場合と更地の場合では固定資産税の金額が変わることがあります。具体的な減税措置の内容やその適用条件については、後述します。

(3)更地になった場合の固定資産税

更地になった場合、固定資産税はどう変わるのでしょうか。

空き家の存在がなくなり、土地のみとなった場合、固定資産税の計算は「土地の価格 × 地方税法の定める税率」によって行われます。具体的には以下のような計算となります。

[ 土地の価格 × 1.4%(都道府県税) + 0.6%(市町村税) = 固定資産税 ]

更地になることで、建築物分の固定資産税はなくなりますが、上記計算により、更地の固定資産税が新たに発生します。ただし、空き家を解体した場合、一定の条件下では固定資産税の減免措置が受けられる可能性もあります。これについては後述します。

以上から、更地になった場合の固定資産税は、土地の評価額と地方自治体の税率によって決まることを覚えておきましょう。

3.空き家を更地にすると固定資産税が高くなる理由

(1)減税特例が適用されなくなるため

空き家には、固定資産税が減税される特例が設けられています。具体的には、以下のようになっています。

【表1:減税特例の内容】

減税内容適用条件
固定資産税30%軽減空き家を解体し、更地にする
固定資産税50%軽減空き家を解体し、新たに住宅を建設

しかし、空き家を更地にした場合、この減税特例の対象から外れてしまいます。そのため、固定資産税の負担が増える可能性があります。空き家問題を解決するために設けられたこの制度ですが、更地にした途端にそのメリットがなくなるので注意が必要です。

(2)特定空き家に指定されると固定資産税が増加する

特定空き家とは、ある基準に基づいて指定された放置された空き家のことを指します。さて、なぜ特定空き家に指定されると固定資産税が増加するのでしょうか。

それは、市町村が空き家対策を強化し、その一環として特定空き家の所有者に対して増税措置を取るからです。具体的には、固定資産税が割増されるという形で行われます。以下にその計算方法を示します。

【表】 特定空き家の固定資産税の計算方法

  • 基礎税率:1.4%
  • 特別税率:最大6倍
  • 増税後の税率:最大8.4%

以上から、特定空き家と指定されると、最大で通常の固定資産税の6倍となる可能性があることが分かります。そのため、所有者は放置を避け、適切な活用や処分を検討することが求められます。

4.固定資産税を滞納した場合のリスク

(1)延滞金の発生

固定資産税の納付を怠ると、その分の延滞金が発生します。延滞日数に応じて算出されるこの金額は、無視できるほど小さいものではありません。具体的な算出方法は以下のようになります。

【表1】延滞金の算出方法

延滞日数延滞金率
1日から2ヶ月未満納税額の0.05%
2ヶ月以上納税額の0.15%

2ヶ月以上の延滞が続くと、日割り計算で納税額の0.15%の延滞金が発生します。これが数年続くと大きな金額となる可能性もあるので注意が必要です。また、延滞金が発生した場合は本来の固定資産税に加えて支払う必要があります。空き家を更地にして固定資産税が増加した場合でも、納税の義務は免れません。しっかりと納税計画を立て、滞納を避けることが重要です。

(2)差し押さえの可能性

固定資産税の滞納が続くと、最終的には国や自治体からの差し押さえが行われる可能性があります。これは、滞納税金の回収を目的とした措置で、税金を滞納した者の財産、具体的には該当の不動産や預貯金等が差し押さえられます。

この差し押さえは以下のような手順で行われます。

  1. 固定資産税の滞納に対する催告状が送付されます。
  2. それでも滞納が続くと、差し押させの通知が送られます。
  3. 差し押さえ通知後も滞納が続けば、具体的な差し押さえが行われます。

差し押さえは、所有者の意思に関わらず行われ、その結果、不動産を失う恐れもあります。このため、固定資産税の滞納は早期に解消することが重要です。

5.空き家を有効に活用する方法

(1)リノベーションして貸す

(2)売却する場合の注意点

(3)更地にして土地活用する

6.空き家解体後の固定資産税減免制度

(1)減免制度の背景

日本では、空き家が増え続ける問題があります。その一方で、空き家を有効活用しようとする所有者は固定資産税の負担を感じることが多いです。これが空き家問題の解決を妨げています。

そこで、国や地方自治体は、空き家を有効活用するための助成金制度や固定資産税の減免制度を設けています。これらは、空き家を解体したりリノベーションしたりする際の費用負担を軽減し、空き家問題を解決する一助となるはずです。

この減免制度は、空き家を更地にすることでリスクを低減したい、または土地を有効活用したいと考える人々への一助となるものです。具体的な減免内容や対象は各地方自治体により異なるため、詳細は各自治体のホームページ等で確認してください。

愛知県 扶桑町 空き家 固定資産税 減免制度:空き家の発生を抑制するための特例措置(譲渡所得の3,000万円控除)

空き家の発生を抑制するための特例措置として、相続時から3年を経過する日の属する年の12月31日までに、被相続人の居住の用に供していた家屋を相続した相続人が、当該家屋(耐震性のない場合は耐震リフォームをしたものに限り、その敷地を含む。)又は取壊し後の土地を譲渡した場合には、当該家屋又は土地の譲渡所得から3,000万円を特別控除します。
また、本特例措置については2019年12月31日までとされていた適用期間が2023年12月31日までに延長されることとなり、特例の対象となる相続した家屋についても、これまで被相続人が相続の開始直前において居住していたことが必要でしたが、老人ホーム等に入居していた場合(一定要件を満たした場合に限ります。)も対象に加わることとなりました。
この拡充については2019年4月1日以後の譲渡が対象です。扶桑町HPより引用

7.まとめ

(1)空き家を更地にすることのメリット・デメリット

空き家を更地にするメリットとして、管理費用の削減や犯罪防止が挙げられます。空き家は定期的な管理やメンテナンスが必要で、これらの費用を考慮に入れると更地にすることで経済的な負担を軽減できます。また、放置された空き家は犯罪の温床になりがちで、更地にすることでそのリスクも避けることが可能です。

一方、デメリットとしては固定資産税が増える可能性があります。空き家には固定資産税の減税措置がある一方で、更地になるとその特例が適用されなくなります。また、解体費用も必要となります。

メリットデメリット
管理費用の削減固定資産税の増加
犯罪防止解体費用の発生

以上の点を考慮すると、空き家を更地にするかどうかは土地の状況や所有者の経済状況によります。

(2)適切な空き家の活用法とは

適切な空き家の活用法には、主に「貸出し」「販売」「土地活用」の3つがあります。

まず、1つ目は、空き家をリノベーションやリフォームを行い、貸し出すという方法です。これにより、家賃収入を得ることが可能となります。ただし、リノベーションには費用がかかりますし、適切な管理やメンテナンスを行わなければならないため、その面での手間やコストも考慮する必要があります。

2つ目は、販売するという方法です。空き家やその土地を販売することで、一時的ではありますが大きな収入を得ることが可能です。ただし、売却に際しては、固定資産税や相続税などの税金対策も必要となります。

最後に、空き家を解体し、土地を更地にして活用するという方法もあります。具体的な活用方法としては、駐車場やコミュニティ広場として利用する、または農地として使うなどが考えられます。ただし、更地にするための解体費用や固定資産税の増加といった点を検討する必要があります。

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