売却前に知っておきたい！空き家における現況測量と確定測量の役割と重要性

1.はじめに：空き家販売と測量の重要性

空き家の売却を考えている方にとって、現況測量と確定測量は一体何なのでしょうか？ この二つは、空き家を売却する際の土地の面積や形状を正確に知るために非常に重要な役割を果たします。

具体的には、現況測量は物件の現在の状態を詳細に把握するためのもので、確定測量は土地の正確な形状や境界を法的に確定するためのものです。それぞれが異なる目的と役割を果たし、売買契約を進める上で必要不可欠なプロセスとなります。

これから私たちは、これらの測量について詳しく説明し、その重要性を理解して頂くことで、空き家の売却を円滑に進める手助けをすることを目指します。

2.空き家販売における現況測量と確定測量の定義と役割

空き家販売における重要なステップとして、現況測量と確定測量があります。

まず、確定測量とは、不動産の境界や面積を正確に確定するために行われる公的な測量のことで、国土交通省に登録することで法的効力を持つものです。境界確定のため法的なトラブルを防ぐ役割を果たします。

一方、現況測量とは、物件の現況を詳細に把握するための測定作業で、建物の位置、形状、面積などを図面化します。これにより売買契約時の誤解を防ぐ役割があります。

これら二つの測量は、それぞれ異なる目的と役割を果たしつつ、空き家販売のスムーズな進行とトラブル防止に貢献します。

2-1.確定測量：定義と特徴

確定測量とは、土地の境界を明確にするために行われる公式な手続きです。土地家屋調査士が法律に基づき測量を実施し、その結果を地籍図に記載することで、土地の形状や面積、境界位置を「確定」します。

この確定測量は、所有権を名義変更する際や隣地との境界争いが生じた場合などに必要となります。特に空き家の売却を考える際には、買主が安心して購入できるよう、土地の境界を明確にしておくことが求められます。

なお、確定測量には2種類あり、「新規確定」と「再測量」です。新規確定は初めて確定測量を行う場合、再測量は既に行われていた確定測量の結果を再度確認する場合に行います。

以上が確定測量の基本的な定義と特徴です。次節では、現況測量について詳しく解説します。

2-2.現況測量：定義と特徴

現況測量とは、文字通り物件の「現在の状況」を詳細に把握するための作業です。空き家の敷地形状や建物の配置、隣接する土地との境界線など、現地の具体的な状況を測定し、図面に起こすことで事前にトラブルを回避し、売却に向けた適切な価格設定を行います。

特徴としては、確定測量と比べて手間やコストが比較的抑えられる点が挙げられます。しかし、法的な効力は持たないため、境界紛争が発生した場合などは確定測量が必要になることも覚えておきましょう。これらを考慮し、空き家売却時の現況測量は適切な計画とともに進めていくことが求められます。

3.測量を行う必要性とその対象ケース

空き家の売却に向けて、確定測量や現況測量を行う必要性は大きいです。それぞれ対象となるケースを具体的に見ていきましょう。

まず、3-1.確定測量を行う必要があるケースですが、これは主に土地の境界が不明確な場合や、土地の形状・面積について正確なデータが必要な場合に実施されます。法的な証明力を持つため、トラブル防止にも役立ちます。

一方、3-2.現況測量を行うべきケースとしては、売買時の土地の状況を把握するためや、建物の存在や位置関係を正確に示すために実施されます。現在の状態を示すことで、売買契約時の誤解を避けることができます。

どちらの測量も、売買におけるトラブル防止や正確な価格設定に繋がる重要なプロセスです。

3-1.確定測量を行う必要があるケース

確定測量は、土地の正確な境界を設定するために必要となる作業で、特に以下のケースではその実施が必要となります。

1. 隣接する土地所有者との境界を明確にする必要がある場合： 土地の境界がはっきりしていないと、将来的に隣地とのトラブルを引き起こす可能性があります。そのため、空き家を売却する前に確定測量を行い、境界位置を明確にすることは重要です。
2. 建物建設や改修を計画している場合： 建築計画を進める前に、正確な土地面積や形状を確認するためにも確定測量が不可欠です。これにより、建築基準法に適合しているかどうかをチェックできます。
3. 地籍図と現況との違いがある場合： 地籍図と実際の土地の状況が異なる場合、売買に影響を及ぼす可能性があります。このようなケースでは確定測量を行い、地籍図の更新が必要となります。

以上のケースでは、確定測量を行うことで、空き家の売却におけるトラブルを未然に防げるとともに、売却価格の適正化を図ることができます。

3-2.現況測量を行うべきケース

現況測量は、土地や建物の現在の状態を詳細に把握するために行います。特に次のような場合、現況測量を行うことが推奨されます。

1. 空き家の内部状況が不明な場合：長期間放置されていた空き家では、建物の劣化や不法占拠などの問題が生じている可能性があります。現況測量により、その詳細な状況を把握することが可能です。
2. 土地の境界線が不明確な場合：隣地との境界争いを避けるため、または正確な土地面積を認識するためにも、現況測量は必要です。
3. 建物の改築・増築を考えている場合：建物の現状を正確に把握し、建築計画を立てるためにも、現況測量は重要となります。

以上のようなケースでは、現況測量を実施し、正確な情報を得ることでスムーズな空き家売却が可能となります。

4.空き家販売における測量の一般的なプロセス

空き家売却における測量の一般的なプロセスは、ざっくりと以下のような流れとなります。

まず初めに「4-1.測量の依頼方法と準備する資料」についてです。

測量を行うためには、専門の測量士や測量事業者へ依頼を行います。ここで注意が必要なのは、事前に必要な書類を準備しておくことです。一般的には、空き家の登記簿謄本や地図情報、過去の測量結果等が必要となります。

次に「4-2.測量の実施：現場での作業と書類作成」です。

現地での作業とは、専門の機器を使用して土地の形状や面積、隣接する土地との境界線等を確認します。その結果をもとに、正確な地図を作成します。この地図は「現況測量図」と呼ばれ、売却時に買主に提示する重要な書類となります。

4-1.測量の依頼方法と準備する資料

空き家の売却に際し、現況測量や確定測量は必要不可欠な工程であります。測量を依頼する際には、まず信頼のおける測量業者を探すことから始まります。適切な業者を探す方法としては、口コミや評価、提供されるサービス内容を確認する等で選びます。

選定が完了した段階で、具体的な業務依頼に進みます。その際に必要となる基本的な資料は以下の通りです。

1. 不動産の種類（戸建て、マンション等）
2. 地目（宅地、田、畑等）
3. 地積（敷地面積）
4. 所在地
5. 地番

これらの情報は、公図や登記簿謄本等から取得可能です。設計図や既存の図面がある場合も提出すると良いでしょう。正確な情報提供が求められますので、不明な点は事前に調査しておくことが望ましいです。

4-2.測量の実施：現場での作業と書類作成

測量の実行は、専門家が現地を訪れ、正確な計測を行う工程です。現況測量では、空き家の存在する土地の形状や面積、建物の位置や大きさを詳細に計測します。確定測量では、土地の境界線を正確に定めます。

現地調査が終了したら、測量士はその結果を基に書類を作成します。現況測量では「現況測量図」、確定測量では「境界確定図」と呼ばれる資料が作成されます。これらの資料は販売時に必要となりますので、大切に保管してください。

測量の完了後は、必要に応じて隣地の所有者に通知するなど、関連手続きを行います。手続きは測量士が行う場合と依頼者が行う場合がありますので、事前に確認しておきましょう。

5.測量にかかる費用と期間

売却の準備として必要な測量ですが、その費用と期間はどれくらいなのでしょうか。

確定測量の費用相場は、規模や地域によりますが、一般的には30万円～50万円程度と言われています。一方、現況測量は、調査の範囲や難易度によりますが、約10万円～30万円が目安となります。

また、費用が高額になる要因としては、土地の形状が複雑であることや隣接地との境界確認が困難な場合などがあります。

測量に要する一般的な期間は、依頼から結果が出るまで約1～2ヶ月程度となります。ただし、これも土地の状況や測量士のスケジュールによって変動します。

空き家の売却では、早急な売却を望む場合でも、この期間を念頭に置いたスケジュール管理が必要です。

5-1.確定測量の費用相場

確定測量の費用は、測量会社や業者により異なるものの、一般的には20万円から50万円程度とされています。この費用には、現地調査、図面作成、報告書作成などが含まれます。また、物件の広さや形状、場所により費用が変動することもあります。以下の表に主な費用の内訳を示します。

以上のように、確定測量にはそれなりの費用が必要ですが、売買契約においては重要な役割を果たします。したがって、空き家を売却する際は、予算の中で確定測量の費用を考慮に入れることが重要となります。

5-2.現況測量の費用相場

現況測量の費用は、測量する土地の大きさや形状、地形、測量業者によって大きく変動します。しかし、一般的な相場としては、数十万円程度が目安となります。

例えば、以下の表のようになります。

ただし、これらはあくまで一般的な目安であり、詳細な費用は測量業者に直接見積もりを依頼することが最も確実です。また、測量業者によっては初回見積もりが無料のところもありますので、複数の業者に問い合わせてみることをおすすめします。

5-3.費用が高額になる主な要因

空き家売却における測量費用が高額になる主な要因は以下の3つです。

1. 測量範囲：測量が必要な敷地が広ければ広いほど、専門家が行う作業時間が増え、それに伴い費用も増えます。
2. 敷地の複雑さ：地形が複雑であったり、境界線が不明瞭だったりする場合、詳細な調査や複雑な計算が必要となります。このようなケースでは、測量費用が上昇する傾向にあります。
3. 不確定要素：過去の測量記録がない場合や、隣地との境界争いが発生した場合など、予期せぬ問題が生じたときには追加費用が発生することがあります。

これらの要因を事前に把握し、適切な測量業者を選ぶことで、コストを抑えることが可能です。

5-4.測量に要する一般的な期間

測量に要する一般的な期間は、依頼から結果が出るまで約2週間から1ヶ月とされています。ただし、これはあくまで目安であり、測量の内容や規模によってはそれ以上の時間が必要な場合もあります。

確定測量は、測量士が正確な計測を行い、その結果を基に権利関係を明確化するための手続きを行います。そのため、具体的な期間は該当地の状況や登記の手続きに要する時間によります。

一方、現況測量は、物理的な状況を確認するためのもので、通常は数日から1週間程度で完了します。しかし、測量結果を元にした書類作成や報告書の提出を含めると、全体で見ても2週間から1ヶ月程度の期間を要することが一般的です。

以下に、それぞれの測量が要する一般的な期間を表で示します。

6.空き家販売における測量の注意点と失敗しないためのコツ

空き家販売における測量には注意が必要です。特に、次の2つのポイントに注目しましょう。

【6-1.隣地所有者と良好な関係を築く方法】 測量には、隣接する土地の所有者との協力が必要となる場合があります。そのため、コミュニケーションを大切にし、測量の目的やスケジュールを事前に共有することが重要です。また、測量作業が隣地に影響を与える場合は、配慮や謝罪の意を示すことで理解を得やすくなります。

【6-2.時間管理の重要性と余裕を持つ理由】 測量は一日で終わるものではなく、実施から結果が出るまでには時間がかかります。また、天候や人間関係、法的な事情など予期せぬ要素で遅延する可能性もあります。そのため、余裕をもったスケジュール管理が求められます。計画的に進めることで、スムーズな空き家売却に繋がります。

6-1.隣地所有者と良好な関係を築く方法

空き家の測量では、隣地所有者との関係が重要な要素となります。特に、境界確認における協力は欠かせません。

まず、隣地所有者への挨拶は必須です。突然の測量作業に戸惑う方もいるかもしれません。事前に挨拶をし、測量の目的と作業内容を明確に伝えることが大切です。

また、測量作業にご協力いただく際は、日程調整をしっかり行いましょう。迷惑をかけないよう配慮することが必要です。

さらに、測量後も関係性を維持するためには、作業結果の報告や感謝の意を示すことも忘れないでください。これらの対応が、困難なトラブルを未然に防ぐことにつながります。

6-2.時間管理の重要性と余裕を持つ理由

空き家販売における測量は、時間管理が非常に重要となります。測量には確定測量や現況測量といったさまざまなプロセスがあり、これらを順序良く進めるためには適切なスケジューリングが求められます。

具体的な期間としては、確定測量では数ヶ月、現況測量では数週間が一般的です。しかし、土地の状況や隣地との関係性、機関の審査スケジュールなどにより、これらは前後します。また、予期しない問題が発生した場合に備えて余裕を持った計画を立てることがおすすめです。

このように時間管理を適切に行うことで、スムーズな測量を進めることが可能となるのです。逆に時間管理を怠ると、販売スケジュールが遅延し、場合によっては売却機会を逸してしまう危険性もあります。したがって、余裕を持った時間計画を立てておきましょう。

7.まとめ：空き家販売における現況測量と確定測量の重要性

本記事を通じて、空き家販売における現況測量と確定測量の重要性をご理解いただけたでしょうか。確定測量は正確な土地の面積や境界を明確にするため、法的なトラブルを未然に防ぐ役割があります。一方、現況測量は物件の現状を把握し、販売価格を適切に設定するために不可欠です。

どちらの測量も空き家売却において重要であり、適切な手続きを経ることでスムーズな売却が可能となります。測量は専門的な知識を要するため、適切な専門家に依頼することをお勧めします。それぞれの特性を理解し、空き家の売却を進めていきましょう。