1.はじめに
ここ数年、空き家問題が深刻化しています。その解決策の一つとして注目されているのが「空き家解体」です。しかし、解体工事は専門的な知識が求められるため、手続きや工事過程においてさまざまなトラブルが発生することもあります。
本章では、空き家解体で起こり得るトラブルの実例を紹介します。これらの事例を通して、空き家解体における問題点を理解し、後の章で詳しく述べる各種解決策を適切に適用するための基礎知識を身につけていただくことが目的となっています。ご自身の空き家解体を計画されている方、またはこれから解体業者との契約を考えている方は、ぜひこの章を参考にされてみてください。
空き家解体で起きるトラブルの実例紹介
空き家解体の際にはさまざまなトラブルが起こる可能性があります。その中でも頻繁に発生するトラブルとして以下の3つを挙げます。
まず1つ目は、近隣住民からの苦情です。解体工事は騒音や振動、埃などを伴います。これらが近隣住民に迷惑をかけるとトラブルに発展することがあります。
次に2つ目は、解体業者との契約内容に関連するトラブルです。見積もりと実際の費用が大きく異なる、工事期間が遅れる、工事内容が契約通りでないなど、契約内容と実態が一致しないことからトラブルが発生することがあります。
最後に3つ目は、解体後の不法投棄です。解体業者が適切な処分をせずに不法投棄するケースがあり、これが発覚した場合、持ち主は法的な責任を問われる可能性があります。
これらのトラブルは、事前の準備や確認、そして適切な業者選びによって防ぐことができます。後述する解体工事でトラブルを避けるためのポイントを参考に、スムーズな空き家解体を実現しましょう。
2.解体工事前に発生するトラブルとその解決策
解体工事前には、さまざまなトラブルが生じる可能性があります。それらは主に近隣への事前挨拶の不備や養生の設置ミス、解体許可の不在、損害賠償保険への未加入等です。
(1)近隣への事前挨拶がない場合、工事に対する理解や協力を得られないばかりか、騒音や振動によるクレームが発生する可能性があります。解決策としては、工事開始前に近隣住民に対して説明と挨拶を行うことが重要です。
(2)養生や足場の設置がずさんな場合、工事中の安全対策が十分でないという問題が生じます。これに対する解決策は、解体業者に対してしっかりとした養生や足場の設置を求めることです。
(3)解体許可を取得していない場合、法的な問題が発生する可能性があります。この対策としては、許可取得の確認を怠らないことが必須です。
(4)損害賠償保険への未加入は、万が一の事故に備えるための重要なステップです。未加入の場合、予期せぬ費用が発生するリスクがあります。この解決策としては、解体業者が保険に加入していることを確認することが必要です。
これらのトラブルを防ぐためには、事前準備と確認が非常に重要です。
(1)近隣への事前挨拶がない
解体工事を行う際には、多大な騒音や振動が発生します。これらが近隣住民にとって大きなストレスとなり、クレームの原因になることも少なくありません。そんなトラブルを避けるためにも、工事開始前には近隣への挨拶が欠かせません。
では、具体的にはどのような挨拶をすべきでしょうか。次の表をご覧ください。
時間帯 | 内容 |
---|---|
工事開始1週間前 | 工事の旨を説明し、騒音や振動について謝罪 |
工事当日朝 | 工事開始の挨拶と再度の謝罪 |
工事終了後 | 感謝の挨拶と今後の連絡方法の確認 |
このように、事前に近隣住民へ周知することで、騒音や振動によるトラブルを未然に防ぐことが可能となります。解体工事は、近隣住民との良好な関係がスムーズに進行するカギとなります。
(2)養生や足場の設置がずさん
解体工事において、養生や足場の設置は重要な工程の一つです。しかし、ずさんな設置が行われることで、近隣住民への迷惑や工事の安全性に問題が出てきます。
例えば、足場の設置が不適切な場合、工事員の安全が確保されないだけでなく、解体作業中に建物の破片が飛散して近隣に被害を及ぼす可能性があります。また、養生が不十分な場合は、解体作業中の粉じんやノイズが近隣に影響を及ぼし、トラブルの原因となることがあります。
これらのトラブルを解決するためには、専門的な知識を持つ解体業者に依頼し、適切な足場設置と養生作業を行うことが重要です。事前に業者と相談し、きちんとした設置が行われるように確認しましょう。
以上のような注意点を押さえておくことで、解体工事前に発生する可能性のあるトラブルを未然に防ぐことが可能になります。
(3)解体許可の認可を受けていない
解体工事は、建築基準法により解体許可が必要となる工事です。しかし、知らぬ間に解体許可を取得せずに工事を始めてしまうというトラブルはよく見られます。
具体的には以下のようなパターンがあります。
- 解体業者が許可を取得せずに工事を開始
- 解体許可を申請中だが、許可が下りる前に工事を開始
これらの行為は違法となり、罰則が科せられる恐れがあります。最悪のケースとしては、工事が中断し、再度許可申請からやり直さなければならない事態も考えられます。
このようなトラブルを避けるためには、事前に解体業者から解体許可の申請状況を確認し、許可が下りてから工事を開始することが重要です。また、自分で市町村に問い合わせて許可の有無を確認するのも一つの方法です。
(4)損害賠償保険への未加入
解体工事前に発生するトラブルの一つとして、「損害賠償保険への未加入」がございます。解体工事は予期しない事故やトラブルが起こる可能性があります。そんな時に必要となるのが、この損害賠償保険です。
具体的には、工事中の事故で近隣の物件に損害が出た場合や、作業員がケガをした際などに保険が適用されます。しかし、業者がこの保険に未加入だと、万一の事故発生時に適切な対応が取れず、結果的に被害者側に負担が及ぶこともあります。
そのため、解体工事を依頼する前には、業者が損害賠償保険に加入しているか確認することが重要です。未加入の場合、他の業者へ依頼するか、加入を要求するなど対応を検討してください。
各トラブルの解決策と事例
この章では、空き家解体で発生する様々なトラブルとその解決策について詳しく説明します。
例えば、事前挨拶がない場合のトラブルは、近隣住民からのクレームや工事の中断といったリスクがあります。これを解決するためには、解体工事に入る前に近隣住民への挨拶と説明を必ず行うことが重要です。具体的には、工事の期間や作業内容、騒音や振動の発生時間などを明確に伝え、理解を得るべきです。
また、足場の設置がずさんであると、作業員の安全が確保されず、さらには近隣住民に対する危険性も増します。これに対する解決策としては、適切な養生を行い、足場設置のプロフェッショナルに任せることがおすすめです。
これらの実例とともに、さまざまなトラブルの対応策を提案し、読者が安心して空き家解体を進められるようにサポートします。
3.解体工事中に発生するトラブルとその解決策
解体工事中には様々なトラブルが発生します。頻繁に起こるのが、「騒音や振動」、「ほこりや粉じんの飛散」、「路上駐車によるトラブル」、「解体業者との認識違い」、「工事開始遅延」などです。
「騒音や振動」は工具の使用により避けられない問題ですが、近隣への配慮を怠るとクレームが発生します。解決策としては、事前に騒音対策を行うことが必要です。
また、「ほこりや粉じんの飛散」は、健康被害を引き起こす可能性があります。これを防ぐためには、適切な保護措置と清掃が必要です。
「路上駐車によるトラブル」は、近隣の住民の日常生活に影響を与えます。解決策としては、事前に駐車場所を確保するか、近隣の了承を得ることが重要です。
「解体業者との認識違い」や「工事開始遅延」は、コミュニケーション不足や契約不備が原因で起こります。これらは、契約時に詳細を確認し、定期的に進捗を確認することで防げます。
以上のように、各トラブルとその解決策を理解し、適切な対応を行うことが、スムーズな解体工事につながります。
(1)騒音や振動
解体工事に伴う騒音や振動は、近隣住民からの苦情の原因となることが多いトラブルです。特に、都市部や住宅街では注意が必要です。大きな音を立てる機械の使用や、大量の瓦礫を運搬する際の振動が原因となります。このような状況を避けるためには、以下の対策が有効です。
- 騒音発生時間の管理:騒音が出る作業は、指定の時間帯に集中して行うように計画します。その際、周辺住民に事前に通知することも忘れずに。
- 振動対策の施工:解体作業に伴う振動を防ぐため、各種防振材を使用した作業台の設置や、床面への緩衝材敷設などを行います。
以上のような対策を行うことで、近隣への騒音や振動による迷惑を最小限に抑えることが可能です。
(2)ほこりや粉じんの飛散
解体工事中、大きなトラブルの一つがほこりや粉じんの飛散です。特に密集した住宅地での解体作業では、周囲に影響を及ぼし易いため注意が必要です。
まず、解体作業前には、防塵ネットやシートを使い周囲に対する予防策を施すことが大切です。これにより飛散をある程度抑制することが可能となります。
また、解体作業中は定期的に作業場周辺の掃除を行い、粉じんの飛散を最小限に抑えるべきです。さらに雨天時には作業を休止するなど、天候による飛散も考慮することが求められます。
ほこりや粉じん対策は、実施する解体業者に十分な配慮と経験が必要となりますので、予めその対応能力を確認しておくことをおすすめします。上手に対策を行えば、近隣からの苦情を避けるだけでなく、良好な関係を維持することも可能です。
(3)路上駐車によるトラブル
解体工事中にトラブルが起きやすいのが、作業車両の路上駐車です。特に、狭い住宅地での解体作業では避けられません。しかし、近隣住民からの苦情が生じることもあるため、事前の配慮が必要です。
具体的には、駐車場所の確保や近隣への配慮が必要です。解体業者が近隣住民への挨拶を怠ったり、解体作業で路上駐車をし続けると、通行の妨げになります。また、作業車両が原因で交通事故が起きると、解体業者側が責任を問われることになります。
対策としては、解体工事を始める前に、必要な駐車スペースを確保することが大切です。もし近くに駐車スペースがない場合は、一時的に道路を使用する許可を地方公共団体から取得することもあります。
これらの対策を行うことで、路上駐車によるトラブルを未然に防ぐことが可能です。
(4)解体業者との認識違い
解体工事中に起こり得るトラブルの一つに、「解体業者との認識違い」があります。これは、契約内容や工事の進行状況について、依頼者と業者間で意識や理解がズレてしまうことを指します。
例えば、依頼者が「解体後の土地は完全に平らに整地してほしい」と思っていたのに対し、業者は「解体後の大まかな整地まで」と認識していた場合、後から「細かい整地が未完成だ」というトラブルに発展します。
このような認識違いを回避するためには、契約前に事前にヒアリングを徹底することが重要です。また、工事の進行中も定期的に現場確認を行い、必要に応じて業者とコミュニケーションをとることが求められます。これにより、双方の認識を一致させ、スムーズな工事進行を実現することができます。
(5)工事開始遅延のトラブル
工事開始の遅延は、空き家解体でよく見られるトラブルの一つです。このトラブルは、解体会社との契約時に工事スケジュールが明確にされていない、または解体会社が工事を遅らせる理由を説明していない場合に発生します。
【具体的なトラブル事例】 例えば、解体業者が他の現場の工事が遅れる等の理由で予定通りに開始しなかったケースなどがあります。
【解決策】 このような問題を避けるためには、契約書に工事開始日と終了日を明記することが重要です。また、万が一遅延が発生した際の対応(遅延損害金等)についても契約時に確認しておくことをお勧めします。これにより、工事の進行状況に起因するトラブルを未然に防ぐことが可能になります。
各トラブルの解決策と事例
【解体工事前に発生するトラブルとその解決策】
(1)近隣への事前挨拶がない: 事例:Aさんの解体工事で、近隣への挨拶がなく騒音によるクレームが発生しました。 解決策:事前の挨拶と工事内容の説明、想定される騒音等の共有を行います。具体的な工事スケジュールを伝え、理解と協力を得ることが大切です。
(2)養生や足場の設置がずさん: 事例:Bさんの場合、不適切な養生により近隣への埃の飛散が起きました。 解決策:養生と足場設置は安全確保のため重要です。専門業者に依頼し、きちんと設置されていることを確認します。
以上のように、トラブルは様々ですが、適切な準備とコミュニケーションがあればほとんどが防げます。
4.解体工事後に発生するトラブルとその解決策
解体工事後に発生するトラブルは様々です。業者の整地作業がずさんだったり、工事内容や範囲のミスがあったりと、悩ましい問題が発生します。特に厄介なのが不法投棄や建物取毀し証明書の発行拒否など、解体業者が関与する問題です。
- 整地作業がずさん 整地作業が不十分であれば、再度業者に依頼する手間と費用が発生します。適切な整地作業を求めるため、契約時には整地についての詳細を明確にしましょう。
- 工事内容や範囲のミス 工事内容や範囲が契約と異なる場合、契約書を基に交渉しましょう。証拠がなければ弁護士の助けを借りることも視野に入れておきましょう。
- 不法投棄 不法投棄が発見された場合、速やかに警察や自治体に連絡することが重要です。未然に防ぐためには、マニフェストを提出してもらうことを契約時に求めましょう。
- 建物取毀し証明書の発行拒否 こちらも契約時に発行を確認しておくことが大切です。発行が拒否された場合、弁護士に相談しましょう。
以上が解体工事後のトラブルとその対処法です。次章では、これらのトラブルが発生したときの具体的な対処法について詳しく説明します。
(1)整地作業がずさん
解体工事後のトラブルの一つとして、「整地作業がずさん」というケースがあります。解体工事が終わった後の敷地は、次の建物の建設や土地の売買など、新たな用途に応じた状態にするための整地作業が必要です。
しかし、解体業者によっては、この整地作業を適切に行わず、残骸やガレキをそのままにしたり、表面を荒くしたままにするなど、「ずさん」な作業を行うことがあります。これでは、新たな用途に活用する前に再度整地作業を行わなければならず、無駄なコストが発生してしまいます。
そこで、解体業者に依頼する際は、整地作業についてもしっかりと確認し、契約することが重要です。また、完了後に確認できない場合は、事前に「整地後の敷地状態」についての確約を得るとともに、写真等で確認するようにしましょう。
(2)工事内容や範囲のミス
解体工事後に発生するトラブルとして、工事内容や範囲のミスが挙げられます。これは契約書に記載のある内容や範囲を超えて解体が行われたり、逆に工事が不完全であったりする場合を指します。
例えば、以下のようなケースが考えられます。
- 契約書にない箇所を解体してしまった
- 解体するべき箇所が残ってしまう
- 解体するはずの建物を誤って保留してしまう
このようなトラブルを避けるためには、契約時に工事範囲を詳細に確認し、必要であれば写真や図面などで確認すべきです。また、工事中も定期的に現場を確認し、計画通りに進行しているかをチェックすることが重要です。
また、万が一トラブルが発生した場合には、速やかに業者へ連絡し、状況を報告しましょう。早期の対応が問題解決に繋がります。
(3)不法投棄
解体工事後に発生するトラブルとして遭遇することがあるのが「不法投棄」です。不法投棄とは、瓦礫や廃棄物を適切な処理場所ではなく、不適切な場所に捨てる行為を指します。これは法律に明確に禁止されており、業者だけでなく依頼主も罰せられる可能性があります。
このトラブルの解決策として、以下の2つのポイントが挙げられます。
- 明確な契約:適切な廃棄物処理が契約に明記されているか確認しましょう。不法投棄されると、処理費用や罰金負担の可能性もあるためです。
- マニフェストの提出:業者からマニフェスト(廃棄物の処理経路を示す書類)を提出してもらうことも重要です。これにより、廃棄物が適切に処理されたかを確認することができます。
これらを実施することで、不法投棄のトラブルを避けることが可能です。
(4)建物取毀し証明書を発行してもらえない
空き家の解体工事が終わった後、必ず受け取るべきなのが「建物取毀し証明書」です。しかし、何らかの理由でこれが発行されないというトラブルが発生します。
建物取毀し証明書は、建物の解体が適正に行われ、建築物の存在がないことを証明するものです。これがないと、新たな建築を行う場合や不動産を売却する場合などに問題が生じます。
トラブル解決策:
- 建物解体を依頼する前に、解体後の建物取毀し証明書発行を確認する
- 解体業者に対し、解体完了後すぐに証明書の発行を依頼する
- 解体業者が証明書を発行しない場合は、法的手段を検討する
これらを念頭に、解体業者選びから確認することで、後々のトラブルを避けることができます。
各トラブルの解決策と事例
近隣への事前挨拶がないトラブルでは、解体業者が挨拶を怠ったケースがよくあります。解決策としては、必ず事前に近隣へ解体工事の日程等を伝え、理解を得ることが重要です。特に深夜や早朝の作業は避け、必要な騒音対策も行いましょう。
また、養生や足場の設置がずさんなトラブルの例としては、近隣の物件に影響が出たケースが見受けられます。この問題の解決策は、解体工事前にしっかりと養生を行うことが大切です。安全第一を考えて、足場の安定性を保つための確認も欠かさないようにしましょう。
以上の実例を通じて、解体工事における各種トラブルを予防・解決するための具体的な方法を示しました。これらのポイントを心掛ければ、スムーズな解体工事が可能になります。
5.トラブルが発生したときの対処法
解体工事におけるトラブルは、専門的な知識が必要なケースもあります。専門家への相談が必要な場合、以下の3つの窓口が有用です。
(1)弁護士に相談する 契約内容や法律違反が疑われる場合は、弁護士に相談することを推奨します。法的な観点からアドバイスをもらえ、必要であれば裁判の手続きも支援してもらえます。
(2)消費者センターに相談する 解体工事業者とのトラブルで困っている場合、消費者センターへの相談も一つの手段です。解決のアドバイスや斡旋を行ってくれます。
(3)法テラスに相談する 資金的な問題で解決が難しい場合は、公的な法律相談窓口である法テラスへの相談を検討しましょう。
いずれの相談窓口も、解体工事のトラブルに対する最初の一歩として利用することができます。
(1)弁護士に相談する
空き家の解体工事でトラブルが発生した場合、専門的な知識を持つ弁護士に相談することが有効です。特に高額な損害賠償や複雑な法律問題が関わる際には、弁護士の専門的な意見は大きな助けとなります。
しかし、弁護士に相談する際には、以下の点に気をつけてください。
- 相談内容を具体的、かつ明確に伝える
- 必要な書類はすべて持参する
- 弁護士への報酬について明確に確認しておく
これらを押さえておけば、弁護士とのコミュニケーションがスムーズに進むでしょう。早期解決を目指すためにも、適切な法的手段を講じることが重要です。
(2)消費者センターに相談する
空き家解体でトラブルに見舞われた場合、消費者センターへの相談も有効な選択肢です。各地の消費者センターでは、業者との契約トラブルを始めとした消費生活に関する様々な問題を無料で相談できます。一般的に、消費者センターでは専門のアドバイザーが相談者の話を詳しく聞き、適切なアドバイスを提供します。
解体工事に関するトラブルの具体的な対応例としては、例えば契約内容違反や工事の不備に関する問題等を、消費者センターの専門スタッフが中立的な立場から分析。そして、解体業者との調停や契約改訂のアドバイスを提供します。
ただし、消費者センターが直接問題解決を行うわけではないため、最終的な解決には弁護士等の専門家の協力が必要となる場合もあります。それでも、初めてのトラブルでどう対処すべきかわからない場合や、解体業者との交渉が難航する場合などには、消費者センターの利用は大いに役立ちます。
(3)法テラスに相談する
解体工事のトラブルが生じた場合、無理な自己解決を試みるよりも専門的なアドバイスを求めるべきです。その際に役立つのが法テラスです。
法テラスは、国によって設けられた法的トラブルに関する相談窓口で、弁護士に相談する前の初期段階での対応をサポートしています。相談は無料で、全国各地にある支部で受け付けています。また、電話やインターネットからでも相談可能です。
空き家解体のトラブルに巻き込まれた場合、まずは法テラスに連絡し、概略的な状況を説明しましょう。その上で、専門家の意見をうかがいながら、次の行動を決定すると良いでしょう。
※法テラスに相談するための連絡先は、公式ホームページ等で確認してください。
6.解体工事でトラブルを避けるためのポイント
まずは、近隣への挨拶の重要性について。解体工事は騒音や振動、ほこり等で周囲に大きな影響を及ぼします。そのため、事前に近隣の方々へ挨拶と工事の説明を行うことが大切です。
次に、見積もりの確認です。解体工事にかかる費用や期間、作業内容等を、丁寧に見積もり書で確認しましょう。不明点があれば、その都度業者に問い合わせることが重要です。
また、業者選びにおいては、解体工事の実績確認も必要です。過去の施工例や口コミ等を参考にし、信頼できる業者を選ぶように心がけてください。
さらに、業者の情報についても確認が必要です。会社の住所やホームページ、許可証や登録など公的な情報をしっかりと確認することで、トラブルを未然に防ぐことが可能です。
最後に、追加工事費用の規定とマニフェストの提出を依頼しましょう。これにより、未予想の出費を避けることができ、解体後の不法投棄などのリスクも軽減できます。
(1)近隣への挨拶を重視
解体工事には大きな騒音や振動、粉じん飛散といった問題が伴います。そのため、近隣の方々への事前の挨拶は欠かせません。これは単なるマナーではなく、工事によるトラブルを未然に防ぐ重要なステップです。
まず、直接挨拶をするという方法があります。自身で直接近隣の家々を訪れ、工事の内容、期間、時間帯などを詳細に説明し、理解と協力をお願いします。この時、挨拶状を手渡すという方法も効果的です。
次に、挨拶状を郵送する方法です。直接訪れるのが難しい場合や、挨拶回りが大変な場合はこの方法を選ぶと良いでしょう。
どちらの方法を選んでも、工事内容や期間、時間帯など具体的な情報を詳しく書くことが大切です。これにより、近隣の方々が不安を感じることなく工事期間を過ごすことができるでしょう。
(2)見積もりを丁寧に確認
解体工事における見積もりは、実際の作業内容や料金等を事前に確認する大切な手段です。しかし、見積もりが専門的な言葉で書かれているため、理解するのが難しいと感じる方も多いかと思います。
そこで、詳しい解説と一緒に見積もりの確認ポイントを挙げていきましょう。
- 工事内容:解体作業の詳細が記載されており、これが工事の全体像を把握するための基本となります。
- 料金明細:工事内容ごとの料金や使用する材料の費用等が分かれて明記されているかを確認しましょう。
- 追加料金:些細な変更でも追加料金が発生する場合があります。その具体的な条件と金額を把握しておくことが重要です。
見積もりは、工事の進行方向を左右します。専門的な部分でもわからないことがあれば、遠慮せず解体業者に質問し、納得のいく答えを得ましょう。
(3)解体工事実績の確認
解体工事を依頼する際には、業者の解体工事の実績を確認することが重要です。これは、業者の技術力や経験、信頼性を見極める一つのバロメーターとなります。
具体的には、過去にどのような建物の解体を行ってきたのか、その規模はどれくらいだったのか、解体後の処理は適切に行われたのかなどの点を確認しましょう。また、可能であれば具体的な事例や写真などを見せてもらうこともおすすめです。
解体工事は専門性が高く、またそれぞれの建物によって適切な解体方法が変わるため、経験と知識が豊富な業者に依頼することで、トラブルを回避しやすくなります。
また、口コミやレビューをチェックするのも一つの方法です。過去の依頼者の声から、業者の対応や作業の質、料金設定などを把握することができます。ただし、口コミはあくまで参考の一つであり、全てを鵜呑みにするのではなく、自身で業者と直接話をするなどして判断をすることが大切です。
(4)会社の住所やホームページを確認
解体工事に取り組む業者選びは、トラブルを回避する上で大切なポイントです。そのために、まず確認したいのが業者の「住所」と「ホームページ」です。
住所については、具体的な場所が明示されているかチェックしましょう。また、実際に存在する企業かどうかを確認するためにも、Googleマップなどで検索してみると良いでしょう。
次にホームページですが、これは業者の信頼性を判断する重要な手がかりとなります。ホームページ上には、業者の事業内容や解体工事の実績、口コミ情報などが掲載されているはずです。また、連絡先や営業時間、対応エリアなどの情報も確認できます。
これらを通じて、業者の信頼性をしっかりと見極めることが、空き家解体のトラブルを未然に防ぐ第一歩となります。
(5)追加工事費用の規定を確認
解体工事で想定外の出費を避けるため、追加工事費用の規定を確認することが重要です。見積もり時点では予想しきれない問題が現場で発見されることがあり、それが追加費用となる場合があるのです。
例えば、解体中にアスベストが見つかった場合、専門業者による撤去作業が必要となります。また、基礎の深さが予想以上だった場合も追加の解体費用が発生します。このような追加費用の発生を前提とした規定が契約書に明記されているか、確認しましょう。
また、追加費用が発生した場合の施主への連絡方法やタイミング、追加費用の算出方法なども事前に確認しておくと、後々のトラブルを防げます。不明な点は施工業者に直接尋ね、理解できるまで確認しましょう。
(6)許可証や登録の確認
解体工事を依頼する業者の選び方として、許可証や登録の確認は必須となります。建築業許可証や廃棄物処理業許可証は業者の品質を保証する基準となるため、事前に確認しておきましょう。具体的には以下のような内容です。
- 建築業許可証:解体業者は建築業法に基づく建築業の許可が必要です。許可番号や許可元をチェックしましょう。
- 廃棄物処理業許可証:産業廃棄物の適正な処理を行うためには、これもまた重要な許可証となります。
これらの許可証や登録があることは、業者が法令を遵守している証明となり、信頼性が担保される重要なポイントとなります。
(7)マニフェストの提出を依頼
解体工事でトラブルを避けるための重要なポイントとして「マニフェストの提出を依頼する」ことが挙げられます。マニフェストとは、廃棄物の処理状況を明確にするための文書のことを指し、法律で提出が義務付けられています。
空き家の解体後、出た廃棄物がどのように処理されたのか、その適正な流れを示す証明書がマニフェストです。解体業者にマニフェストの提出を依頼し、しっかりと受け取ることで、不法投棄等のトラブルを防ぐことが可能となります。
また、マニフェストが適切に提出されていれば、万が一、後日問題が発生した場合でも、解体業者への追及が可能です。そのため、解体工事を依頼する際は、事前にマニフェストの提出を依頼し、工事終了後には必ず受け取るようにすることを心掛けましょう。
7.まとめ
空き家解体においては、事前の準備が重要であることがわかりました。近隣への配慮や解体許可の取得、業者選びなど、手続きは複雑ですが、これらを適切に行うことで多くのトラブルを未然に防ぐことができます。
また、工事中や工事後にもトラブルが発生する可能性があります。騒音や振動、ほこりや粉じんの飛散など周囲への影響を最小限に抑える対策や、工事内容の確認、整地作業のしっかりと行うことが求められます。
万が一、トラブルが発生した場合には専門家に相談しましょう。そして、解体業者選びでは、見積もりや実績をしっかりと確認することが大切です。これらを踏まえた上で解体工事を進めることで、安心して空き家の解体を行うことができるでしょう。